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論文作成

さて、私はUNIX上のLaTeX(レイテックあるいはラテフ)とい うツールを使って論文などの文書作成を行っている。これはい わば「ワープロ」のようなものであるが、違いと言えば、文書 作成後にいちいちコンパイルして(エラーで途中終了すること もしばしばある)出力ファイルを作らなければならないことと、 印刷機能がないために別のツールで印刷しなければならないこ とである。なんで、こんな面倒なツールを使っているかという と、メールやデータ解析、ホームページ作成と言った他の処理 との間でのファイル操作が簡単だからである。さらにいえば、 個人の文献データベースの取り込みや論文投稿の際にも、その 操作性の便宜さは威力を発揮する。

「論文の投稿?」と思われる方もいらっしゃるであろうが、一 口に「論文」といってもその投稿書式は雑誌によって異なる。 LaTeXでは「文書スタイルファイル」を別個に設定するため、 作成した原文にそのスタイルファイルを当てはめるだけで、投 稿形式の整った文書ができてしまうという利点がある。著名な Journalではそれぞれの「スタイルファイル」が公開されてい て、文献形式なども含めて提出直前に些細な整形作業に煩わさ れずに済む。(私はやったことはないが、)rejectされた論文 のスタイルファイルを変えるだけで、その日のうちに別の雑誌 に投稿するという芸当だってできるのである。冗談はさておき、 引用文献の書式を雑誌に合わせて作成することには多くの方が 苦労していると思う。LaTeXでは文献リストの出力書式も設定 することができるので、自分の文献データベースの番号を本文 中に記入するだけで、その番号の文献項目をデータベースから 抽出し、それを書式に合わせて末尾に出力すると共に、番号付 きの場合にはその文献番号を本文に挿入してくれる。査読後の 再投稿で文献の増減があったときなど、いちいち全ての番号を 見直す必要がない。

私がLaTeXを使っていて便利だと思うことの一つに、「科研費 マクロ」がある。毎年の申請フォームに合わせて、その「制作 グループ」の苦心作がftp.yukawa.kyoto-u.ac.jpで公開されて いる。私はそこからマクロファイルをftpで取ってきて、そこ に自分の研究計画を記入してLaTeXでコンパイルして出力する と、そのまま提出可能な科研費申請書が印刷されるというわけ である。規定のフォームに合うように位置合わせする必要もな いし、なにより研究費の細目を記入するだけで費目毎、年度毎 の合計も計算してくれるという強者である。



Yoshio Nakamura
Mon Dec 27 10:02:29 JST 1999