そういうわけで、私のホームページの改訂作業が始まった。 その際の基本方針は、以下の通りである。
まず、ホームページの更新・改訂に費やすことのできる時間は
極めて少ないので、なるべく無理をしないというのが大前提で
あり、定期的に更新しなければならないなどといった目標は一
切立てずに、時間の余裕のあるときにできる範囲で記述するこ
とを心がけた。そのためにも、これまでの枠組みから生まれた
「Under Construction」のページの構築や放置されたページの
更新、あるいは、過去の履歴・業績を完全に掲載することにこ
だわっていると、改訂・更新・追加作業の意欲に水を差す恐れ
があるので、これまでの枠組みにはこだわらないようにした。
また、ホームページの見栄えを良くしようとすると余計な時間
がとられるし、その分、内容を充実させる妨げになるので、
「飾らないこと」を意識した。さらに、項目が細分化されるほ
ど管理が面倒になるのと同時に、「手をかけることのできない
ページ」が多くなってしまうので、なるべく細分化しないよう
にした。つまり、「読み易さ」よりも「書き易さ」を重視した
というわけである。と、同時に、(特にジョージア滞在中は暇
だったということもあるが)日頃の感想やメールでの何気ない
言葉などを気軽に残しておくためのページも立ち上げたのであっ
た
これらの改訂は、ジョージアでの生活に慣れた96年11月に行な い、その後、気づいたときに少しずつ手を加えた結果、現在で は図9.2の様な構成になっている。「研究概要」のページのう ち「学会発表」以降については当初の枠組みの成りゆきで細分 したものだが、これをバッサリと切ってしまうと、自分の研究 を切り捨ててしまうような気がして、(おそらく更新される可 能性はほとんどないと思うのだが)「Under Construction」の ままその枠組みだけを残している。いわば、「将来の夢」とで もいうのだろうか。
図: 現在(97.10.28)の私のホームページの構成。枠で囲
んだ項目が実現されている。
いずれにしても、このような方針でホームページを作成・更新
するようになってからは、(それこそ日記のような感覚で)気
軽に記入・更新ができるようになったし、まったく手を付けな
いページ(例えば「研究:学会発表」など)があっても、忙し
くて記入・更新ができなくても、気に
することなく仕事に打ち込めた。「見栄え」を気にしたり「読
者」を意識したりするととかく「きちんとしたスケジュールで
更新しなければならない」というような強迫観念にさいなまさ
れることもあるだろうが、研究者が個人で作成するホームペー
ジは自由に無理なく手がけるのが一番良いやりかただと思う
。
ともあれ、そのように自由にホームページを楽しんでいたとこ ろ、「意外な側面を見た」という反響をいただいたり、見も知 らぬ人から便りをもらったりした。また、電子メールで知らせ てもらったゼミの進行状況を即時に掲載することで、学年を超 えた情報交流の一助になったようだし、学生からの質問の回答 を掲載したりすることで、自分の周りの情報が奇妙に隠匿され なくなったようにも感じられた。しかし、一方で、「公開」す ることに躊躇しなけらばならなかったことも多く、「気楽」に やりながらも「気にしなければならない事柄」も少なくないこ とに気づいた。次号には、そんな事ごとを記したいと思ってい る。